銅スクラップの分類と慣習 Classification-of-Copper-and-Common-Practice

銅スクラップは、銅屑(どうくず)、故銅(こどう)と呼ばれる。

「屑(くず)」という言葉は響きが悪いので、銅屑とは呼ばす「銅スクラップ」とする動きがあるが、都道府県が「金属くず営業条例」などと称していることからも分かるように、いまだに「屑」のままである。

参考:静岡県金属くず営業条例の概要
参考:金属くず商許可申請の手続き(長野県)
参考:金属くず取扱業に関する手続き(茨城県)

これにより、スクラップ屋は「屑屋」「屑商」などと呼ばれる。
銅屑は、その質により、上銅、並銅、下銅がある。
一号銅、二号銅と分類することもある。
電線は一号銅線、二号銅線、と呼ぶこともある。

これらの名称はスクラップ屋により変わり、同じ名称でも、指すものが異なることがある。
これは混乱の元だが、スクラップには共通の分類規格がないのがその理由だ。

厳密にはあるのだが、スクラップは多種多様であり、スクラップの現状に合わなくなり、どうしても限度が出てくるため、あまり意味がない。

銅に銅以外の金属が付くと、買取価格が下がる。
付いている金属を「付物(ツキモノ)」や「異物」、「ダスト」などと呼ぶ。

これらを除去する(仕上げ)と買取価格を上げることができるが、手間がかかるのでよく考えること。
買取価格が1万円上がっても、人件費で2万円かかっていれば、1万円の赤字となる。

炉に近くになるにつれ、銅屑の質に高さが求められる。

付物(ダスト)には、エナメルやメッキなどの表面加工も含む。
メッキには、ニッケル、錫(すず)、鉛(なまり)、稀(まれ)に銀(ぎん)がある。
銅は水分と反応し劣化、黒化や緑青(ろくしょう)を生じる。

炉に溶かすので表面劣化など微々たるものかと思われるが、その程度で値段を下げることが多い。
これはスクラップ業の「慣習」のようなもの。

実は、ピカ線(一号銅線)の表面劣化品が焼銅線(二号銅線)だが、銅の含有としては大した差はない。
表面が厚い緑青でなく、黒ずんだ程度であれば、表面に生じた「劣化」とやらの重さが、全体の何%を占めるかを考えると分かるだろう。

それでいて数十円もの差があるのは、スクラップ業界の「慣習」である。
スクラップ業は古い業種であり、そのような「慣習」が多々存在する。

スクラップ業者は、より上位のスクラップ業者に仕入れた銅を売却するので、上位のスクラップ業者に合わせた分類をしなければならない。
そのような関係もあり、古い慣習が残り続けている。

スクラップ業には、他業種と同様に「~組合」などの組織があるものの、意外と組織的なつながりが薄いので、業界での呼称統一は困難。
誤解を恐れずに言えば、各スクラップ屋が勝手に分類を作り、勝手に命名しているだけだ。

持ち込んだ屑屋の分類が気に食わなければ、自分に合う屑屋を探すか、自分が屑屋になるかしかない。