銅スクラップの盗難 Theft-of-Copper-Scrap

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2008年のリーマンショック以前の金属相場高騰時には、ステンレス製の車止めや放水ホースのジョイント部分(砲金製)、さらには銅像、寺の鐘(青銅製)が盗まれる事件が各地で発生。
その後相場は下落、回復、落ち着いたが、銅をはじめとする金属の盗難は後を絶たない。

盗むなら単価の高い金属が狙い目、ということで、重量がありかつ単価が高い銅屑は、その格好の対象となる。
銅スクラップを保護のない屋外に置くと、確実に盗難に遭う。

建物解体で出た電線を置いておくと、翌日にはなくなっている。
山間の工場解体の場合、夜間に見張りを立てるわけにもいかないので、困ったものだ。
ビニールシートで隠しておいても分かるしね。
人気(ひとけ)のない解体現場を狙う専門がいるのだろう。

近年は、動作品として設置されているエアコンの室外機を持ち去る事件が相次いだ。
据え付けられているエアコンを盗むのだ。
室内には侵入せず、屋外にある室外機のみを盗むのだ。
エアコンを使う季節(夏,冬)に盗むと早期に気付かれるため、エアコンを使用しない時期に盗む。
エアコンの所有者が、必要な時期になってエアコンを使おうとすると作動せず、室外機の盗難に気付くが、時既に遅し、というわけである。

スクラップを専門に扱う、スクラップ屋への侵入も見られる。
囲いやセキュリティーシステム(侵入者を検知し通報、警備員が駆け付けるシステム)があっても油断はできない。
正門からの正面突破や、スクラップを積んだトラックごと、持ち去られる事案もあった。
外壁が薄いと刳(えぐ)り取られる危険があるため、薄い万能鋼板は論外。

銅屑などの金属在庫は、敷地内のアクセスしにくい場所に固め、持ち出せないようにすること。
フレコン入りの状態で外壁沿いに置くと、外からクレーンで吊られる危険性がある。
敷地内の重機を利用されることもあるので、トラックやリフト、ユンボなどの鍵は隠しておくこと。
車に挿したままは論外であり、事務所内に保管するにしても、分かりやすい場所には置かず、隠しておくこと。
スクラップ業者の敷地(ヤード)は、住民との摩擦などを避けるため、市街地から離れた場所にあることが多い。
よって、セキュリティー業者に通報が行っても、彼らが駆け付けるまでにはそれなりの時間を要するため、警備員が駆け付けるころには、既に去っているだろう。

スクラップ屋を狙う窃盗犯は、屑の専門家を狙うわけであるから、「窃盗のプロ」である。
窃盗犯は、一般の持込客を装って下見をしている。
まず、何に価値があるかを知っている。
敷地内に鉄屑と銅屑が置かれていれば、格段に価値の高い銅屑を狙うべきだということを理解している。
そして、敷地内のどこに価値の高い金属屑があるかも把握している。

悪意のない一般客か、悪意のある下見犯かは外見では区別が付かず、一般客からの持込を受けている屑屋にとっては、客の敷地内への出入を封じるわけにもいかない。
敷地内の情報は外部に漏れていることを確実に理解し、その上で「盗られにくい」対策をすべきである。
近年、金属相場は落ち着いているが、不景気なのには変わりなく、今後も金属窃盗は続くものと思われる。
屑屋も盗(ヤ)られる。
十分に警戒されたい。